
体の痛みや病気が良くなるようにと、神社やお寺にお参りする人は昔から大勢いました。
私もしばらく肩の痛みに悩まされていたのですが、そんなとき、ふと気になったのが「撫で仏」や「身代わり地蔵」です。
仏像の体の悪い部分と同じところを撫でると、自分の痛みや病気も良くなるという話を聞いたことがあります。
こうした信仰は、どこから生まれたのでしょうか。
今回は、撫で仏と身代わり地蔵の違いや、実際に参拝できるお寺について調べてみました。
撫で仏とは?
撫で仏とは、自分の体の悪いところと同じ部分を撫でることで、病気の回復や健康を願う仏像のことです。
代表的なものに「おびんずる様」と呼ばれる賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)の像があります。
賓頭盧尊者はお釈迦様の弟子の一人で、十六羅漢の一人に数えられています。
日本では病気平癒の信仰と結びつき、多くの寺院で親しまれてきました。
頭が痛ければ像の頭を、肩が痛ければ肩を撫でるというように、自分の患部と同じ部分に触れて回復を願います。
長年にわたり大勢の参拝者が撫でてきたため、表面がすり減っている仏像もあります。
それだけ多くの人が健康を願ってきたということなのでしょう。
身代わり地蔵とは何が違う?
撫で仏と身代わり地蔵は、どちらも人々の苦しみを救う存在として信仰されていますが、意味には違いがあります。
撫で仏は、体の悪いところを撫でて病気の回復を願う信仰です。
一方、身代わり地蔵には、災難や苦しみを本人の代わりに引き受けてくれるという信仰があります。
例えば、危険な目に遭った人の身代わりになったという地蔵の伝説が各地に残っています。
また、身代わりとなって人を救ったという話は、地蔵だけでなく観音菩薩にもあります。
人の苦しみを少しでも軽くしたいという願いが、さまざまな仏像への信仰につながってきたのでしょう。
京都・穴太寺の撫で仏

京都府亀岡市の穴太寺(あなおうじ)は、西国三十三所観音霊場の第21番札所です。
このお寺には、横たわった姿の釈迦涅槃像があります。
等身大に近い木造の仏像で、「撫で仏」として親しまれています。
自分の体の悪いところと同じ部分を撫で、その手で自分の患部をさすると、病気が良くなるという信仰があります。
寝ている姿の仏像に直接触れられるというのも、珍しい特徴です。
夢のお告げで発見された涅槃像
穴太寺の撫で仏には、不思議な話が残されています。
明治29年(1896年)、病気の回復を願って参拝していた女性信者が、夢のお告げを受けたと伝えられています。
その夢をきっかけに、本堂の天井裏から釈迦涅槃像が発見されました。
像を堂内に安置し、病気だった住職の孫娘が仏像を撫でたところ、病気が良くなったという伝承があります。
それ以来、病気平癒を願う多くの人が訪れるようになりました。
穴太寺には、別に「身代わり観音」と呼ばれる聖観世音菩薩の伝説もあります。
仏師が矢で射られたとき、観音像が身代わりとなって傷を負ったという話です。
一つのお寺に、撫で仏と身代わりの信仰が伝わっているのは興味深いところです。
長野・善光寺のおびんずる様

長野県の善光寺にも、撫で仏として知られる賓頭盧尊者の像があります。
善光寺のおびんずる様は、病気のある部分と同じところを撫でると、病気を治していただけるという信仰を集めてきました。
長い年月、多くの参拝者が撫で続けてきた仏像です。
善光寺では、おびんずる様を題材にした御朱印も用意されるなど、現在も人々に親しまれています。
病気の回復を願うだけでなく、家族の健康を祈って参拝する人もいます。
なぜ悪いところを撫でるの?
昔は、現在のように医療が発達していませんでした。
病気やけがが治ることを願い、神仏に助けを求めることは、人々にとって身近な行為でした。
仏像を撫でる行為には、仏様の力をいただきたいという願いが込められています。
もちろん、仏像を撫でることで医学的に病気が治ると証明されているわけではありません。
それでも、苦しいときに回復を願い、手を合わせてきた人々の思いは、長い年月を経て今も受け継がれています。
穴太寺のアクセス情報
名称: 穴太寺(あなおうじ)
住所: 京都府亀岡市曽我部町穴太東ノ辻46
拝観時間: 8:00~17:00
拝観料: 境内無料/本堂・庭園は有料
駐車場: あり(有料・台数は要確認)
電話番号: 0771-24-0809
地図
よくある質問
▶撫で仏とは何ですか?
自分の体の悪いところと同じ部分を撫で、病気の回復や健康を願う信仰の対象となっている仏像です。
▶身代わり地蔵と撫で仏は同じですか?
同じではありません。身代わり地蔵には災難や苦しみを身代わりとなって引き受ける信仰があり、撫で仏には仏像を撫でて病気の回復を願う信仰があります。
▶穴太寺の撫で仏は実際に触れますか?
穴太寺の釈迦涅槃像は、参拝者が触れて祈願できる撫で仏として紹介されています。参拝時は現地の案内に従ってください。
▶肩こりや腰痛でもお参りしていいですか?
体の痛みや健康について願うことができます。ただし、治療の代わりになるものではありません。
終わりに
今回このテーマを調べようと思ったのは、自分自身が肩の痛みに悩まされていたことがきっかけでした。
体の悪い部分と同じところを撫でると良くなるという話は以前から知っていましたが、調べてみると、夢のお告げで発見された仏像や、身代わりとなって人を救った観音様の伝承までありました。
特に穴太寺の撫で仏には興味を持ちました。
痛みがあるときは、できることなら何でも試してみたいと思うものです。
昔の人も、同じような気持ちで仏様に手を合わせていたのかもしれません。
いつか実際に訪れてみたいお寺の一つになりました。
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