引用写真AC 大石隧道

大分県日田市と中津市山国町の境にある大石峠には、巨大な洞穴のような姿をした古い素掘りトンネルが残されています。

一般には「おしがとう」や「旧大石峠トンネル」と呼ばれていますが、歴史的な名称は「大石峠隧道」です。

明治時代に人や馬車が峠を越えるために造られた隧道で、現在は内部の崩落が進み、入口付近には大量の土砂や岩が堆積しています。

その異様な姿と山深い環境から、ネット上では神隠しや子供の声、正体不明の影などの噂も語られるようになりました。

しかし、行方不明事件や心霊現象について公的な記録が確認されているわけではありません。

この記事では、大石峠隧道の歴史と現在の状態、心霊スポットとして広まった噂を分けながら紹介します。

おしがとう(旧大石峠トンネル)とは

おしがとう(旧大石峠トンネル)は、大分県日田市と中津市山国町の境にある大石峠に残る素掘り隧道です。

「大石峠」は一般的な読み方である「おおいしとうげ」ではなく、おしがとうと読みます。地元では語尾を短くして「おしがと」と呼ばれることもあるとされています。

隧道の名称は「大石峠隧道」で、読み方は「おしがとうずいどう」です。「旧大石峠トンネル」は、現在使われている奥耶馬トンネルと区別するために広まった呼び方と考えられます。

大石峠隧道は、現在の国道212号にある奥耶馬トンネルよりも高い位置に残されています。延長は約72メートル、幅は約4メートルとされ、明治期の素掘り隧道としては比較的大きな造りです。

レンガやコンクリートによる坑門はなく、岩肌がそのまま露出しています。崩落によって坑口が広がったため、現在では人工的なトンネルというより、山中に突然現れた巨大な洞穴のように見えます。

おしがとう(旧大石峠トンネル)の歴史

大石峠を通る道は、1885年(明治18年)ごろに馬車や人力車も通行できる道として開削されたとされています。

それ以前、日田と中津方面を結ぶ主要な道として利用されていたのは、大石峠より北にある伏木峠でした。

大石峠を越える道が整備されたことで、日田と山国方面を結ぶ新たな往来が生まれます。大石峠隧道については、1889年(明治22年)竣工とする資料が多く、道の開削から数年をかけて隧道が完成したと考えられます。

隧道は岩盤を直接掘り抜いた素掘り構造です。モルタルやコンクリートによる本格的な補強は行われておらず、地質も崩れやすかったことから、年月とともに天井や壁面の崩落が進んでいきました。

なお、大石峠隧道は現在の国道212号の上部にありますが、隧道自体が国道として指定されていた時期は確認されていません。

奥耶馬トンネルが完成する以前の国道は、北側の伏木峠を通っていました。そのため、大石峠隧道を「国道212号の旧トンネル」や「旧国道」と説明するのは、正確ではない可能性があります。

1970年代には、大石峠付近の交通の難しさを解消するため、国道212号の花月バイパスと奥耶馬トンネルの工事が進められました。

延長717メートルの奥耶馬トンネルを含む花月バイパスは、1976年(昭和51年)12月23日に開通しています。これにより、日田市と山国町の間を大石峠の高い場所まで上らずに通行できるようになりました。

大石峠隧道はその後も地域の生活道として使われた時期があり、かつては隧道を通って反対側の畑へ向かう人もいたと報告されています。

しかし、崩落と道路の荒廃が進み、現在では交通路としての役割をほぼ終えています。

おしがとうが心霊スポットと呼ばれるようになった理由

おしがとうが心霊スポットとして語られるようになった大きな理由は、現在の姿にあると考えられます。

大きく崩れた坑口、むき出しになった岩盤、内部に積み重なった土砂、周囲を覆う木々。山中に巨大な黒い穴が開いているように見えるため、写真だけでも不安を感じさせる雰囲気があります。

また、周辺は人の往来が少なく、トンネルに近づくにつれて道路も荒れています。

こうした環境に「夜は近づいてはいけない」「神隠しに遭う」といった話が結びつき、心霊スポットとして紹介されるようになったと考えられます。

ネット上では、地元の言葉として「山神がいる」「夜に行くと神隠しに遭う」といった表現が紹介されています。

ただし、これらの言葉の出典は心霊スポット情報サイトや動画が中心です。地域に古くから伝わる民間伝承なのか、ネット上で心霊スポット化した後に広まった表現なのかは確認できません。

特に「山神」を「ヤマノケ」と読む表現は、一般的な山の神信仰とは異なります。ネット怪談で語られる存在と、この場所の噂が後から結びついた可能性も考えられます。

おしがとうで噂される現象

おしがとうでは、次のような現象が噂されています。

  • トンネルを通ると神隠しに遭う
  • 子供の笑い声や助けを求める声が聞こえる
  • 誰もいない場所から呼びかけるような声がする
  • トンネル内で突然冷気を感じる
  • 大きな黒い影が現れる
  • 人のような気配に後をつけられる

なかでも広く知られているのが、神隠しに関する噂です。

「過去に子供が行方不明になった」とする話も見られますが、事件の発生時期、子供の氏名、捜索記録、報道などの具体的な情報は確認できませんでした。

そのため、実際の行方不明事件として紹介するのではなく、行方不明になった子供がいると噂されている程度にとどめるのが適切だと思います。

子供の声や黒い影についても、ネット上の心霊情報を通じて広まった体験談であり、科学的・客観的に確認された現象ではありません。

また、素掘りトンネルでは外との温度差によって冷気を感じることがあります。内部の凹凸、木々の揺れ、差し込む光、野生動物の動きなどが、影や人の気配に見える可能性もあります。

ただし、自然現象として説明できるかどうかとは別に、巨大な素掘り空間に入った際の心理的な圧迫感が、心霊の噂を強く印象づけているのかもしれません。

おしがとうに現れるとされる存在

おしがとうでは、主に次の存在が噂されています。

  • 行方不明になったとされる少年の霊
  • 姿の見えない子供
  • 巨大な黒い影
  • 正体不明の人影
  • 山神またはヤマノケと呼ばれる存在

少年の霊は、神隠しや子供の行方不明事件の噂から生まれた存在と考えられます。

しかし、具体的な服装や年齢、目撃された時期などははっきりしていません。少年を見たという話よりも、子供の声を聞いたという噂の方が多く見られます。

黒い影やヤマノケについても、形や特徴が一定しているわけではありません。

おしがとうに現れる存在には共通した姿がなく、古い怪談や地域伝承というより、ネットや動画を通じて複数の話が重なっていった可能性があります。

珯在のおしがとうの情報

大石峠隧道は現在も残されています。

2024年3月に撮影された記録でも、隧道の両側に坑口が残っていることが確認できます。

一方で、天井や壁面から崩れた大量の岩や土砂が内部に積み重なり、本来の路面よりも地面が高くなっています。天井には落下する可能性のある岩も見られ、坑口付近には車両通行止めの表示があります。

古い記録には、地元の人が畑へ向かうために隧道を利用していたという話があります。しかし、これは2000年代初頭の調査記録であり、現在も同じように使われているとは限りません。

ネット上には内部を歩いた記録もありますが、通行できることと、安全であることは別です。

素掘りの天井や壁は崩落が続いており、落石、倒木、足元の土砂、野生動物など、心霊現象とは関係のない現実的な危険があります。

歩行者の通行を正式に禁止する行政情報までは確認できませんでしたが、少なくとも内部へ立ち入ることを勧められる状態ではありません。

おしがとうとYouTubeでの紹介

おしがとうは、心霊スポットや廃道、古い隧道を扱うYouTube動画でも紹介されています。

動画では、山道から突然現れる巨大な坑口や、崩落した内部、反対側まで続く素掘りの空間などが撮影されています。

心霊系の動画では、神隠し、子供の声、ヤマノケなどの噂を取り上げた検証も行われています。

一方、廃道や土木遺構を扱う動画では、明治期の隧道としての規模や、補強されていない岩盤、崩落によって変化した坑口の形などが紹介されています。

YouTubeで繰り返し取り上げられたことで、おしがとうは大分県の心霊スポットとして知られるようになりました。

ただし、動画内で語られる由来や事件については、演出やネット上の情報を基に構成されている場合もあります。歴史的な事実と心霊の噂を分けて見る必要がありそうです。

当サイトのおしがとうの指標

当サイトでは、おしがとうを「恐怖度」「知名度」「人気度」「話題度」に分けて評価しました。

一般的な評価とは異なり、調査した情報をもとにした管理人個人の指標です。エンタメ的な感覚でご覧ください。

恐怖度:★½☆☆☆(1.5)
知名度:★½☆☆☆(1.5)
人気度:★☆☆☆☆(1.0)
話題度:★☆☆☆☆(1.0)

平均得点:1.25

心霊現象の情報量は多くありませんが、崩落した巨大な素掘り隧道の姿には、ほかのトンネルとは異なる怖さがあります。

心霊スポットとしての知名度は限定的であるものの、廃道や隧道を好む人の間では以前から知られている場所です。

おしがとうを調査しての感想

おしがとうを調べて最初に感じたのは、心霊現象よりも隧道そのものの姿に対する怖さでした。

岩肌がむき出しになった巨大な素掘り空間は、トンネルというより、山の内部に開いた洞穴のように見えます。

大分県には、禅海和尚の伝説で知られる青の洞門があります。成立の経緯や現在の状態はまったく異なりますが、人の手で山を掘り抜いた場所という点では、どこか重なる印象を受けました。

一方、大石峠隧道は補強されないまま崩落が進み、少しずつ自然へ戻っているようにも見えます。

かつて人や馬車が通り、地域を結んでいた道が、現在では巨大な黒い穴として残っている。その時間の積み重なりが、心霊の噂以上に不思議な雰囲気を生み出しているのかもしれません。

内部を見てみたい気持ちはありますが、落石や崩落の危険を考えると、映像や写真を通して状態を確認する方がよさそうです。

神隠しや少年の霊について確かな記録は見つかりませんでした。

それでも噂が消えずに残っているのは、山中に口を開けた独特な姿と、人の往来が途絶えた場所が持つ静けさが、見る人の想像を刺激し続けているからではないかと思いました。

おしがとうに関する注意事項

本記事は、行政資料、道路・隧道に関する記録、ネット上の情報、動画、個人の体験談などをもとに構成しています。

心霊現象、神隠し、行方不明事件などの噂について、事実であると断定するものではありません。

大石峠隧道では岩盤の崩落が進み、天井や壁から岩が落下する危険があります。本記事は現地への訪問や隧道内部への立ち入りを勧めるものではありません。

現地の標識や通行規制、土地の管理者、行政機関などの指示に従ってください。私有地や立入禁止区域へ無断で立ち入らないようお願いします。

おしがとうのアクセス情報

おしがとうは、大分県日田市と中津市山国町の境にある大石峠付近に位置しています。

現在の国道212号は、峠の下にある奥耶馬トンネルを通っています。大石峠隧道は、その上部に残る旧来の峠道にあります。

周辺は山林に囲まれた場所で、道路の荒廃や倒木、落石などが報告されています。

この記事では訪問を勧める目的ではなく、大石峠と現在の国道、周辺地域の位置関係を知るための参考情報として地図を掲載しています。

おしがとう周辺の地図

地図は、大石峠と奥耶馬トンネル、日田市と中津市山国町の位置関係を確認するための参考資料です。

おしがとう周辺のストリートビュー

ストリートビューでは、国道212号や奥耶馬トンネル周辺の山深い環境を確認できます。

大石峠隧道そのものが表示されない場合がありますが、周辺の地形や雰囲気を知るための参考になります。

よくある質問

▶おしがとうの正しい読み方は何ですか?

大石峠は「おしがとう」と読みます。

隧道の名称は「大石峠隧道」で、「おしがとうずいどう」と読みます。「旧大石峠トンネル」や「おしがとうトンネル」という名称でも紹介されています。

▶おしがとうは国道212号の旧トンネルですか?

大石峠隧道が国道212号として使われていた時期は確認できません。

奥耶馬トンネルが開通する以前の国道は、北側にある伏木峠を通っていました。大石峠隧道は地域を結ぶ里道として利用されていたと考えられています。

▶おしがとうで子供が行方不明になったのは事実ですか?

子供が行方不明になり、神隠しに遭ったとする噂があります。

しかし、発生した時期や報道、捜索記録など、事件を裏付ける具体的な資料は確認できませんでした。現時点では、心霊スポットとして広まった噂の一つとして扱うのが適切です。

▶おしがとうには現在も入ることができますか?

大石峠隧道は現存していますが、内部では崩落が進んでいます。

ネット上には歩いて通過した記録もありますが、安全が保証されているわけではありません。天井や壁から岩が落下する危険があるため、内部への立ち入りは避けた方がよい場所です。

▶おしがとうは取り壊される予定ですか?

大石峠隧道の撤去や取り壊しに関する具体的な計画は、今回確認した公開情報からは見つかりませんでした。

ただし、自然崩落によって状態が変化する可能性があります。古い写真や動画と現在の状態が同じとは限りません。

▶おしがとうではどのような心霊現象が噂されていますか?

神隠し、子供の声、助けを求める声、黒い影、異常な冷気などが噂されています。

いずれもネット上の体験談や心霊情報をもとにした話であり、事実として確認された現象ではありません。

終わりに

おしがとうは、明治時代に日田と山国方面を結ぶために造られた、巨大な素掘り隧道です。

現在では崩落が進み、かつて人や馬車が通っていたとは思えないほど、洞穴に近い姿へ変化しています。

神隠しや少年の霊といった噂の真相は確認できませんでした。

しかし、山中に残された巨大な坑口と、少しずつ自然へ戻っていく隧道の姿には、人の想像を引きつける独特の力があります。

心霊スポットとしての怖さだけでなく、明治時代の交通や地域の暮らしを伝える歴史的な場所として見ると、おしがとうのもう一つの姿が見えてくるのではないでしょうか。

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