静岡県駿東郡小山町に、かつて「新宿区立足柄学園」と呼ばれる施設がありました。

名前に「学園」と付いていますが、一般的な小中学校ではありません。東京都新宿区の児童が、移動教室や校外学習などで利用していた区外施設です。

施設廃止後も校舎は長く残り、映画やテレビドラマなどのロケ地として使われていました。その一方で、白い服を着た母子の姿、無人の教室から聞こえる声、窓に浮かぶ子どもの手形など、さまざまな心霊現象が語られるようになります。

しかし、建物はすでに解体され、現在は別の施設が建っています。

足柄学園はなぜ心霊スポットと呼ばれたのでしょうか。施設の歴史やロケ地として使われた背景、残されている噂を整理します。

足柄学園とは

足柄学園の正式名称は「新宿区立足柄学園」です。

読み方は「しんじゅくくりつ あしがらがくえん」となります。

1971年、新宿区の児童が移動教室などで利用する施設として、静岡県駿東郡小山町に開設されました。校舎のほか、運動場や雨天時にも利用できる運動施設などを備えていたとされています。

一般的な学校のように児童が毎日通っていたわけではなく、宿泊を伴う校外学習や自然体験などに利用されていた施設でした。

そのため、「廃校になった学校」というよりも、「廃止された区外学習施設」と考える方が実態に近いでしょう。

足柄学園の歴史

新宿区の公式年表によると、足柄学園は1971年8月1日に夏季施設として開設され、同年9月8日から移動教室として使用されました。

その後、約29年間にわたって利用されましたが、2000年3月31日に施設として廃止されています。

ネット上では、少子化や区の予算不足が廃止の理由だったと紹介されることがあります。しかし、今回確認した新宿区の公式資料には、具体的な廃止理由までは記載されていませんでした。

したがって、廃止理由については断定を避けた方がよいでしょう。

ロケ地として使われた足柄学園

施設の廃止後も建物は残され、映画、テレビドラマ、オリジナルビデオ、音楽映像など、さまざまな撮影に利用されました。

小山町フィルムコミッションの撮影記録を見ると、2000年代から2013年頃まで、旧新宿区立足柄学園が繰り返しロケ地として使われていたことが確認できます。ホラー作品だけでなく、学園ものやアクション作品などの撮影にも使われていました。

古びた校舎や広い敷地は、閉鎖された学校、怪しい研究施設、犯罪者の隠れ家といった設定を表現しやすかったのかもしれません。

撮影作品によって作られた不気味な印象が、現実の足柄学園に対する心霊スポットのイメージを強めた可能性も考えられます。

足柄学園が心霊スポットと呼ばれるようになった理由

足柄学園で特に有名なのが、白い服を着た母子の霊が現れるという噂です。

また、使われなくなった校舎の外観や、夜になると人の気配がなくなる周辺環境も、不気味な印象を与えていたと考えられます。

施設廃止後も撮影場所として管理されていたため、完全に放置された廃墟ではありませんでした。しかし、古い校舎を利用したホラー作品の撮影が行われたことで、作品のイメージと現実の施設が混ざり合った可能性があります。

さらに、足柄学園があった竹之下周辺は、南北朝時代に起きた「竹之下の戦い」に関係する土地です。地域に古戦場の歴史が残っていることも、心霊の噂と結び付けて語られる理由の一つになったのでしょう。

ただし、足柄学園の敷地そのものが古戦場の中心だったと確認できる資料は見つかっていません。

足柄学園で噂される現象

足柄学園では、次のような現象が語られていました。

  • 白い服を着た母子が現れる
  • 窓に子どもの手形が浮かび上がる
  • 誰もいない教室から声が聞こえる
  • 校庭から複数の足音が聞こえる
  • グラウンド付近から手が伸びているように見える
  • 無人の建物からガラスの割れる音が聞こえる
  • 撮影した写真に不自然な影や光が写る

いずれもネット上の投稿や体験談として伝わっているもので、発生日時や体験者、詳しい状況が確認できないものが多く含まれています。

建物の老朽化による音、動物の動き、光の反射などが怪異として受け取られた可能性もありますが、現在は校舎そのものが存在しないため、真相を確かめることはできません。

足柄学園に現れるとされる存在

足柄学園では、次のような存在が現れるといわれていました。

  • 白い服を着た母親と子ども
  • 女性の霊
  • 少女の姿
  • 少年の姿
  • 正体の分からない人影

なかでも、白い服を着た母子の噂が広く知られています。

しかし、この母子が誰なのか、足柄学園とどのような関係があるのかについては、はっきりした説明が残されていません。

施設内で母子に関係する事件が起きたという公的記録も、今回の調査では確認できませんでした。施設の雰囲気や怪談、映像作品などから生まれた物語が、長く語り継がれていった可能性も考えられます。

現在の足柄学園の情報

旧新宿区立足柄学園の建物は、2013年度に解体工事が決まりました。

小山町議会の記録によると、本館棟、附属棟、雨天運動練習場棟、プレハブ棟などが解体され、更地にする工事が行われています。工事の完成予定日は2014年3月14日とされていました。

その後、跡地には介護老人保健施設や介護付き有料老人ホームなどからなる「菜の花の丘」が整備され、2015年9月から事業が始まりました。

現在は利用者や職員が過ごす現役の施設です。

旧足柄学園の建物や校庭を見ることはできず、心霊スポットとして訪問する場所でもありません。

足柄学園とYouTubeでの紹介

足柄学園は解体されているため、現在の建物を探索する動画はほとんどありません。

YouTubeでは、過去の写真や地図、心霊スポット情報をもとに、足柄学園の歴史や白い母子の噂を紹介する動画が公開されています。

ただし、動画のなかには廃止理由、所在地、解体時期などが異なっているものもあります。

古い心霊サイトの情報が別のサイトや動画へ転載される過程で、足立区と新宿区が入れ替わったり、施設の種類が一般的な学校として紹介されたりした可能性があります。

足柄学園は、情報の伝言ゲームによって少しずつ姿を変えてきた心霊スポットの一つともいえそうです。

当サイトの足柄学園の指標

当サイトでは、足柄学園を「恐怖度」「知名度」「人気度」「話題度」の4項目に分けて評価しました。

一般的な評価ではなく、調査結果をもとにした管理人の個人的な指標です。エンタメ的な感覚でご覧ください。

恐怖度:★★☆☆☆(2.0)
白い母子や子どもの声など、学校施設らしい怪談が複数残されています。

知名度:★★☆☆☆(2.0)
かつては静岡県内の廃校系心霊スポットとして知られていました。

人気度:★☆☆☆☆(1.0)
建物が解体されているため、現在の注目度は低くなっています。

話題度:★☆☆☆☆(1.0)
新しい目撃情報は少なく、過去の写真や噂を振り返る形で紹介されています。

平均得点:1.5

足柄学園を調査しての感想

足柄学園について調べる前は、長く放置された廃校のような場所を想像していました。

しかし、実際には新宿区の児童が移動教室などで利用していた施設であり、廃止後も多くの映像作品の撮影に使われていたことが分かりました。

完全に忘れられた建物ではなく、子どもたちの学習施設としての時代と、ロケ地としての時代があった場所です。

一方、心霊スポットとして語られる白い母子については、なぜ現れるといわれるようになったのか、はっきりした理由を確認できませんでした。

古戦場の歴史、古い校舎、ホラー作品の撮影、ネット上の体験談。そうした複数の要素が重なり、足柄学園という一つの怪談を形作ったのかもしれません。

廃墟好きとしては、特徴のある校舎が跡形もなく解体されたことに、少し寂しさを感じます。

ただ、現在は新しい施設として使われています。過去の噂を紹介しながらも、今そこで生活している人たちへの配慮は忘れないようにしたいと思いました。

足柄学園のアクセス情報

旧新宿区立足柄学園は、静岡県駿東郡小山町竹之下周辺に存在していました。

現在、旧校舎は残っていません。跡地には介護施設が建ち、日常的に利用されています。

本記事は跡地への訪問を勧めるものではありません。位置関係や周辺の雰囲気については、地図やストリートビューを資料としてご覧ください。

足柄学園周辺の地図

※表示位置は旧施設周辺を確認するための参考情報です。現地訪問を案内するものではありません。

足柄学園周辺のストリートビュー

現在の施設は旧足柄学園とは用途も運営主体も異なります。施設内や敷地への無断立ち入り、利用者や職員の迷惑となる行為はしないようにしてください。

よくある質問

▶足柄学園は現在も残っていますか?

旧新宿区立足柄学園の校舎は解体されており、現在は残っていません。

▶足柄学園の跡地を訪れることはできますか?

跡地には現在、介護施設が建っています。心霊スポットや廃墟として見学できる場所ではありません。不要な訪問や撮影は控え、地図やストリートビューで確認する程度にとどめましょう。

▶足柄学園は本当に学校だったのですか?

一般的な小中学校ではなく、新宿区の児童が移動教室や校外学習などで利用する区外施設でした。

▶白い服を着た母子の霊は実在したのですか?

母子の姿を見たという噂はありますが、写真、記録、事件との関係など、存在を裏付ける資料は確認されていません。

▶足柄学園が廃止された理由は少子化ですか?

少子化や予算不足が理由だったとするネット情報はありますが、今回確認した新宿区の公式年表には具体的な廃止理由は書かれていません。

▶足柄学園で撮影された作品を見ることはできますか?

足柄学園を使用した作品の一部は、映像配信サービスやDVDなどで見られる場合があります。ただし、配信状況は作品ごとに異なります。

足柄学園に関する注意事項

本記事は、公的資料、映像作品の撮影記録、ネット上で伝えられている噂や体験談をもとに構成しています。

心霊現象や幽霊の存在を事実として断定するものではありません。

旧足柄学園の建物はすでに解体されています。現在の跡地には別の施設があり、利用者や職員が日常生活を送っています。

施設への無断立ち入り、不要な訪問、敷地外からの長時間の撮影など、迷惑となる行為はしないようにしてください。

終わりに

旧新宿区立足柄学園は、子どもたちが学び、過ごした施設でした。

閉園後は数多くの映像作品を生み出すロケ地となり、その裏側では白い母子や無人の教室から聞こえる声など、不思議な噂が広がっていきました。

現在、かつての校舎を見ることはできません。

建物が消えると、その場所にあった記憶も少しずつ薄れていきます。しかし、写真や作品、語り継がれた噂のなかには、今も足柄学園の姿が残っています。

真相が分からないからこそ、足柄学園は「消えた学園の謎」として、人々の記憶の片隅に残り続けるのかもしれません。

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