
以前、ちょっと気になる話を聞いたことがあります。
3人で縁結びの神社へ参拝する予定でしたが、当日になって1人が体調不良か何かで行けなくなってしまいました。
残りの2人は予定どおり神社へ参拝。その後、なんと2人とも次々に結婚したそうです。
行けなかった1人も、後日改めて参拝しましたが、なかなか良い縁には恵まれませんでした。
そして後になって耳にしたのが「神無月には神様が出雲へ行ってしまう」という話です。
もしかして、参拝したとき神様は留守だったのでは?
そんな話が妙に面白く、記憶に残っていました。
そもそも、神無月に神様がいなくなるというのはどういうことなのでしょうか。
神無月とは?なぜ神様がいなくなる?

10月は旧暦で「神無月(かんなづき)」と呼ばれています。
この時期、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲に集まるという伝承があります。
各地の神様が出かけて留守になるため、神様のいない月、つまり「神無月」と呼ぶようになったという説です。
一方、神無月の「無」は「の」を意味し、本来は「神の月」という意味だったという説もあります。
同じ10月でも、出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼びます。
全国の神様が集まる出雲では、神様がたくさんいらっしゃる月になるわけです。
神様は出雲に集まって何をしている?

全国から集まった神々は、出雲大社の御祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)のもとで「神議り(かむはかり)」と呼ばれる話し合いを行うとされています。
その議題のひとつが、人と人との縁結びです。
誰と誰が出会い、どのような縁で結ばれるのか。
結婚だけでなく、仕事や人間関係など、人々の幸せにつながる縁について神様たちが相談するという考え方です。
出雲大社が縁結びの神社として有名なのも、こうした信仰と関係しています。
全国の神様が集まって人間の縁について話し合っているというのは、想像すると何とも面白い話です。
神様を迎える出雲大社の神在祭
出雲大社では、神々を迎えるために「神迎神事(かみむかえしんじ)」が行われます。
場所は出雲大社から西へ約1キロの稲佐の浜です。
旧暦10月10日の夕刻、浜では御神火が焚かれ、全国から訪れる神々を迎えます。
その後、神様たちは出雲大社へ向かい、神在祭が行われます。
神様たちが滞在する場所として知られているのが、出雲大社の本殿の東西にある「十九社(じゅうくしゃ)」です。
また、出雲大社の西にある上宮(かみのみや)は、神々が神議りを行う場所とされています。
つまり、神様を迎える場所、話し合う場所、滞在する場所まであるわけです。
神話の中だけの話と思っていたものが、現在も続く神事と結びついているところが興味深いですね。
伊勢神宮と出雲大社はどう違う?

日本を代表する神社として、伊勢神宮と出雲大社があります。
伊勢神宮の内宮には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が祀られています。
一方、出雲大社の御祭神は大国主大神です。
日本神話では、大国主大神が治めていた国を天照大御神の側へ譲る「国譲り」の物語があります。
出雲大社に神々が集まる理由も、この国譲りの神話と結びつけて説明されています。
地上の政治を天照大御神の子孫に譲った大国主大神は、目に見えない世界の神事を治めることになったとされます。
その神事のひとつが、人々の縁を結ぶことでした。
伊勢神宮と出雲大社は、どちらも日本の神話を知るうえで欠かせない存在なのです。
神無月に神社へ行っても願いは届く?

ここで最初の話に戻ります。
神様が出雲へ出かけている間に参拝すると、願いは届かないのでしょうか。
神道には「分霊(ぶんれい)」という考え方があります。
神様の御霊を分けて別の場所にも祀ることができ、その神様の力が弱まるわけでもありません。
神無月についても、神様の分霊が出雲に向かい、もとの神社でも人々を見守っているという説明があります。
また、すべての神様が出雲に向かうわけではなく、留守を守る神様もいるとされています。
神無月でも、いつもどおり神社へ参拝することができます。
とはいえ、神様が出張中だったから縁結びがうまくいかなかったのでは、という話には、どこか引き込まれるものがあります。
2026年の神在月はいつ?
神在月は旧暦10月のため、現在の暦では毎年日付が変わります。
2026年の旧暦10月は、11月9日から12月8日です。
出雲大社では、11月18日の夕刻に神迎神事が行われ、11月25日まで神在祭が続きます。
現在の暦では10月を神無月と呼びますが、実際の神事が11月に行われるのは旧暦に合わせているためです。
よくある質問
▶神無月には全国の神社から神様がいなくなるのですか?
全国の神々が出雲に集まるという伝承がありますが、留守を守る神様もいます。また、分霊という考え方もあり、神無月でも通常どおり参拝できます。
▶神在月に出雲大社へ行くと縁結びの御利益が強くなりますか?
神在月は全国の神々が集まり、縁について話し合う特別な時期とされています。出雲大社では神在祭や縁結大祭が行われ、多くの参拝者が良縁を願って訪れます。
▶神無月は10月なのに、なぜ神在祭は11月なのですか?
神在祭は旧暦10月に合わせて行われるためです。現在の暦では11月になる年が多く、毎年日程が変わります。
終わりに

神無月という言葉は知っていましたが、全国の神様が出雲に集まり、人々の縁について話し合っているというのは面白い話です。
以前聞いた、3人のうち1人だけ結婚に結びつかなかったというエピソードも、神無月の話と結びついたことで妙に印象に残っていました。
調べてみると、神様が出雲へ行っている間も参拝できるということがわかりました。
それでも、神様が集まって誰と誰を結びつけるか相談している姿を想像すると、ちょっと楽しくなります。
昔の人も、そんなふうに神様のことを考えていたのでしょうか。
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